2023年劇場鑑賞 ★★★★★ おデブ俳優 映画

『苦い涙』美青年に恋して悶える熊デブオヤジ!これぞ眼福映画!

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『苦い涙』アイキャッチ画像

出典:IMDb

ABOUT THE MOVIE

邦題:苦い涙(2022)
原題:Peter von Kant
製作国:フランス
監督:フランソワ・オゾン
出演:ドゥニ・メノーシェ、イザベル・アジャーニ、ハリル・ベン・ガルビア、ステファン・クレポン、ハンナ・シグラ、アマント・オディアール
上映時間:85分

公式サイト

シネちゃぶ度チェック

★★★★★:おデブが主役/完全なる癒し!
★★★★☆:おデブが準主役/大活躍!
★★★☆☆:おデブが脇役
★★☆☆☆:おデブがチラリ映る
★☆☆☆☆:全然いない…

※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。

予告編&あらすじ

【シネちゃぶ度:★★★★★】

著名な映画監督ピーター・フォン・カントは、恋人と別れて落ち込んでいた。そこへ、3年ぶりに訪ねて来た大女優で親友のシドニーが、美しい青年アミールを連れてやってくる。ピーターはたちまちアミールに恋をするが…。物語の舞台をアパルトマンの一室に限定した本作は、すでに映画監督として成功しながらも、プライベートでは孤独と不安に苛まれている主人公ピーターの姿を通して、愛というものの本質をあぶり出していく。

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注目ポイント

⚫︎ ドゥニ・メノーシェ主演
⚫︎ ゲイの髭デブ中年の恋

美青年に恋した中年デブ親父の葛藤

超激推し映画が誕生しました。

本作を端的に説明すると、デブのおっさんが美青年に恋しちゃって、もうどうしようもなくなって、文字通り泣き喚きながら、

好き❤️
一日中イチャイチャしたい!!
永遠に触れていたい!!!

ってなる映画(笑)

本作は、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの戯曲『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』の男女を逆転させたもので、二人の主人公を男性に置き換えたフランソワ・オゾン監督作。

つまり、ゲイ男性のお話。

主人公ピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ♡)は、中年のおデブな映画監督。彼氏と別れたばかりで落ち込んでる状況から物語はスタート。ある日、親友のドニー(イザベル・アジャーニ)が、若くて美しいアミール(ハリル・ガルビア)を連れてピーターの家にやってきます。

ひと目で恋に落ちるピーター
もう目がギラッギラ🤩

「お前を映画に出してやる」と映画監督としての権力行使で半ば無理やりお相手させようとするところは性的搾取っぽいですが、この映画では次第にこの監督が恋に悩まされボロボロになっていく様が描かれます。

出っ腹を出して踊りながら彼に思いを馳せるおっさん。正気を失うほど恋をして女々しく泣き喚くおっさん。

もう誰得ですか、みたいな。(俺得)

デブのおっさんが恋に悩む映画自体が希少で貴重なのに、更にゲイ設定という超激レア仕様。

露出度の高いイケデブとイケメンがワチャワチャやってるんだから、たまりませんね。

ピーターのお相手であるアミールは美青年。中年オヤジと若いイケメンの恋模様が描かれるというか、おっさんが恋に溺れる映画。ほぼ一方的にラブラブビームを放ち続けるピーターおじさんに対し、ヤングなアミールは自由奔走。

大柄なピーターが、やきもきしてイラだって正気を失うほど悶えまくってのたうち回る様は、ちょっと滑稽で笑えるし切ない。

シネちゃぶ
「俺が嫌いか?」
「太りすぎか」


いつも一緒にいたいのに、自由すぎるアミールに振り回され女々しく泣きじゃくるピーター。

何なんですか、もう!
可愛すぎて終始悶えるしかありません。


ちなみに、色々なところで言及されていますが、本作はオゾン監督の傑作『焼け石に水』(2020)を思わせる室内劇になっています。これもファスビンダーの戯曲が原作です。

ファスビンダーは、ドゥニ様にちょっと似ていたりします。

哀れな中年オヤジと愛の本質

本作は舞台劇っぽい作風と、フランソワ・オゾン兄貴らしい色彩豊かな演出、ちょっとペドロ・アルモドバル姐さんな雰囲気も醸し出しつつ、中年男の細やかな心情を丁寧に描き出していきます。

愛とは何かがひとつのテーマ。

ピーターが求めていたのは愛なのか、所有欲を満たしたかったのか。

映画監督として成功しているが孤独(彼氏に振られたばかり)な中年男が、若く美しいアミールに惚れ(愛)、自分の部屋に住まわし映画に出演させる(所有)。

それが崩壊する事により落ちぶれて正気を失っていくピーター。ゲイ男性の哀れな姿をユーモアを交えて描いていますが、普遍的な恋愛の在り方をテーマにしていると言えます。

「人間は他者を求めるが、一緒には生きられない」

まぁ、ドゥニ様に「一緒に住もうぜ!」って言われたら、大歓迎ですけどね。アミールと違ってラブ全開でいきます。

絶対離れません(笑)

カールの視線

ピーターのアシスタントというか、秘書というか、召使いというか、もう「しもべ」に近い扱いをされている従順なカールも本作を語る上では外せない重要キャラ。

カールは一切言葉を発せず、ピーターの言いなり。

かなり酷い扱いされているにもかかわらず、文句ひとつ言わずに従う寡黙なカール。

彼の吸い込まれそうな透き通った目の奥にあるものが、本作のテーマを表しているように思えます。

常にピーターのそばにいる彼の心情はどのようなものだったのか。ラストの彼の行動にはビックリしました。

「そこはダメだ。」

ダメなの?(笑)

ピーターと常に一緒にいられるならカールになりたいって一瞬思いましたけど、ちょっと扱いが酷すぎるわな。秘書兼恋人ならいいんですが。

おデブ俳優:ドゥニ・メノーシェ

『苦い涙』は、フランスで大人気のデブ熊俳優ドゥニ・メノーシェが主演。

イカツイ顔で、体はデカいしで威圧感のある風貌なのですが、もうめちゃくちゃイケデブ熊さん。本作は美青年にメロメロになる設定なので、超可愛いのです。

シネちゃぶ
メロメロなドゥニ様を愛でる映画♡


可愛すぎるので、常に視線は彼にフォーカス!

物語に集中できずに細部を見逃したかもしれないので、何度も見返すつもりであります。

ドゥニ様の演技はもちろん完璧。繊細な演技には定評がありますし、恋に悶える姿に釘付け必至。マジで素晴らしいです。

最近は主演作も増えてきており、2022年は本作を含めて3本も主役を演じています。

もはやフランスを代表する名優です。

ドゥニ・メノーシェ主演作(2022)

『ザ・ビースト』は、東京国際映画祭でグランプリ、最優秀男優賞、最優秀監督賞を受賞し、更にゴヤ賞で作品賞、監督賞、主演男優賞ほか9部門制覇🎉

フランソワ・オゾンとのタッグ

今一番ノリに乗っているデブ俳優ドゥニ・メノーシェを主演に起用してくれたのだから、オゾン監督には感謝しかありません。過去作でも何度かタッグを組んでいますが、今回も見事な演出と演技で魅せてくれます。

ドゥニ様とフランソワ・オゾン監督のタッグは、本作で3作目。

オゾン監督&ドゥニ様

『危険なプロット』(2012)
『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(2022)
『苦い涙』(2022)

ドゥニ様は今後もオゾン監督作に顔を出すでしょうし、主演もするかもしれませんね。

それを期待しつつ、動画配信などでドゥニ様を繰り返し楽しみたいと思います。

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