ABOUT THE MOVIE
シネちゃぶ度チェック
★★★★★:おデブが主役/完全なる癒し!
★★★★☆:おデブが準主役/大活躍!
★★★☆☆:おデブが脇役
★★☆☆☆:おデブがチラリ映る
★☆☆☆☆:全然いない…
※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
予告編&あらすじ
【シネちゃぶ度:★★★★☆】
スペイン、ガリシア地方の人里離れた山間の村を舞台に、移住して農耕生活を始めたフランス人の中年夫婦が直面する、地元の有力者の一家との軋轢をパワフルな演出で描いた重厚な心理スリラー。
公式サイト
第35回東京国際映画祭コンペティション部門の東京グランプリ / 東京都知事賞に『理想郷(ザ・ビースト)』が選ばれました!!!そして、ロドリゴ・ソロゴイェンが最優秀監督賞、ドゥニ・メノーシェが最優秀男優賞に選出されました!めでたい!!
更に、ゴヤ賞でドゥニたんが主演男優賞を受賞!なんと、作品賞や監督賞ほか9部門制覇!
⭐️ #Goya2023 a Mejor Actor Protagonista → Denis Ménochet, por As bestas pic.twitter.com/kedOyl51Ay
— Premios Goya (@PremiosGoya) February 12, 2023
めちゃ期待していた作品でしたので、早くも鑑賞できて嬉しい限り。
感謝感激!
おデブ旦那&強気奥さん vs 村人
「苦い涙」のドゥニ・メノーシェ♡の傑作スリラー「ザ・ビースト」が、「理想郷」という邦題で11月3日に公開決定!! https://t.co/FC6o6xMf9A pic.twitter.com/Ll1mM6ouai
— シネちゃぶ (@cinechub_loaf) August 30, 2023
『ジュリアン』『悪なき殺人』『苦い涙』などで活躍するフランスのおデブ俳優ドゥニ・メノーシェと『ヴィーガンズ・ハム』などのマリナ・フォイス主演のスリラー。
スペインの片田舎に移住してきたフランス人夫婦(おデブ旦那と奥さん)が、隣人から執拗な嫌がらせを受けるお話。夫婦が風力発電建設に反対した事が原因のひとつなのですが、地方の片田舎は偏見が強く排他的な地元民が多いからという理由もありそうです。異国から来た余所者を受け付けない風潮。奴らに目を付けられたら安穏とは暮らせない。対話さえ成立しない。怖い。
生活に困窮する彼ら(特に隣人の兄弟)にとって、元教師の学のあるフランス人がとにかく気に食わないんでしょうな。
そんな状況においても、その土地を愛して頑なに離れようとしない二人の精神も凄いのだけど。嫌がらせを受けても、そいつらがいる酒場にしれっと訪れるクマ旦那の図太い精神も相当なものですが。
プロット的にはサム・ペキンパー監督の『わらの犬』(2011年のリメイク版もあり)なのですが、後半からテイストが変化します。これ以上はネタバレになるので書きませんが、スリラーなテイストから一転、静かでヒューマンテイストなサスペンスに移行します。二人の夫婦愛もしっかりと描かれています。
長回しを利用した対話シーンが非常に印象的で、不穏な音響効果もヒリヒリと追い詰められるような緊張感を持続させるのに効果的。ツッコミどころもないわけではないですが、見応えのある重厚な作品に仕上がっていたと思います。
この邦題だとニコラス・ケイジのアクション映画『ザ・ビースト』やイドリス・エルバ様がライオンとバトる『ビースト』などと間違えやすいので注意です。
・・・と思っていたのですが、邦題が『理想郷』に決定したので、間違うことはないでしょうw
村人に嫌がらせされる熊さん
で、本作の注目ポイントは、もちろん旦那アントワーヌ役のドゥニ・メノーシェです。フランスを代表する演技派おデブ俳優です。
本作でも素晴らしい演技力で魅せてくれます。
ドゥニたんといえば、『ジュリアン』で演じたDV夫のように怖いイメージを思い浮かべる人が多いと思うのですが、本作では見た目は厳つくて怖いのですが、妻を溺愛し、娘や孫に首っ丈の優しいデブパパさんなんです。そんな平和を求めるパパさんを心ない隣人が悪質な嫌がらせするというお話で可哀想になっちゃいました。
いつか溜まりに溜まった鬱憤が爆発して大暴れするんじゃないかとハラハラ。
クマさんのような巨体のドゥニたんなら、そんな村人なんて一捻りじゃん!って思いますわな、普通。そのギャップがサスペンスを増して本作を面白くしています。
いつも思うけど、コワモテな人がクシャッと笑顔を見せるとキュンときますよね、マジで。本作は基本的に薄着なので、大きなお腹が目立ってもう釘付け。こんな熊さんに愛されて、「君は俺の全てだ」なんて言わせてしまう奥さんが羨ましすぎます。
ドゥニたんは見た目ちょっと怖い印象のある人ですが、笑顔はめっちゃキュートなんですよね。可愛すぎます。吸い込まれそうなグリーンの目がステキ。大きなお腹にも釘付けです。
ストーリーの構成上、旦那アントワーヌの出番は3分の2ぐらいなのですが、めっちゃ彼を堪能できます。しかも、湖で裸で泳ぐというちょっとしたセクシーショット付き。
ありがとうございます。
というわけで、本作は、片田舎でおデブな熊さんと二人で仲良く畑仕事するのって夢かもしれないと思えた作品でした。いやいや、そんなハッピーな話ではなく、陰湿でヘビーなので、観終わった後にドッと疲れるそんな作品ではありますけどね。
でも好き。
ドゥニ・メノーシェ
ドゥニ・メノーシェと言えば、『ジュリアン』や『悪なき殺人』が特にオススメです。この2本は主役級ですので、『理想郷(ザ・ビースト)』同様に、ポッチャリ体型で可愛い彼の繊細な演技を堪能できます。
新作は戯曲『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』を原作に、男性ゲイに置き換えて描いたフランソワ・オゾン監督の『苦い涙(Peter von Kant)』です。ファン必見。ドゥニ様最高映画と言えるかもしれません。