ABOUT THE MOVIE
邦題:逆転のトライアングル(2022)
原題:Triangle of Sadness
製作国:スウェーデン
監督:リューベン・オストルンド
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン・クリーク、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソン、オリヴァー・フォード・デイヴィス、ズラッコ・ブリッチ(ディミトリ)、ヘンリク・ドルシン(ヤルモ)
上映時間:147分
シネちゃぶ度チェック
★★★★★:おデブが主役/完全なる癒し!
★★★★☆:おデブが準主役/大活躍!
★★★☆☆:おデブが脇役
★★☆☆☆:おデブがチラリ映る
★☆☆☆☆:全然いない…
※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
予告編&あらすじ
【シネちゃぶ度:★★★★☆】
モデルでインフルエンサーのヤヤは、恋人である男性モデルのカールと共に豪華客船のクルーズ旅行に招待される。リッチでクセの強い乗客はゴージャスな船旅を堪能し、客室乗務員は彼らから高額のチップをもらおうと笑顔を振りまきながら要望に応えていたが、ある夜に船が難破する。さらに海賊に襲われ、無人島に流れ着いた乗員乗客たちが食料、水、そしてSNSのない状況にあえぐ中、トイレ清掃員が圧倒的なサバイバル能力を発揮する。
Yahoo!映画
注目ポイント
⚫︎ おデブな二人がメインキャスト
⚫︎ 中盤、汚物まみれ(要注意ポイント)
成金デブたちの地獄クルーズ(ネタバレ)
「逆転のトライアングル」
— シネちゃぶ (@cinechub_loaf) February 26, 2023
資本主義社会への風刺を効かせまくった脚本がお見事。汚物に塗れた船から島に舞台を移してからが本番。現代社会の諸問題をテーマに色々と逆転させた「流されて」みたいな展開が最高!
船客に二人のデブがいて、単なる脇役だろって思ってたらバリバリのメインキャラだった♡ pic.twitter.com/TJmyb0xhdc
『逆転のトライアングル』は3部構成。
まず、男性モデルのカールと女性モデルで人気インフルエンサーのヤヤのモデルカップルが食事をどちらが奢るかで長々と口論するところからスタート。
このやり取りがグダグダで不毛すぎて面白かったのですが、この映画の本題はこの後から。
次の舞台はクルーズ船。
冒頭二人のモデルカップルが乗船するのは、世界の大富豪たちが集まる超豪華クルーズ船。ロシアの大富豪のディミトリ(デブ)やらIT億万長者ヤルモ(デブ)やら富裕層がやりたい放題。
単なる脇役だろうなって思いながらも、豊満すぎるロシアの大富豪様に視線をフォーカスして楽しんでいたら、大嵐が発生して船酔いの乗客達で船内は大パニックに。
ここからは観るに耐えない惨劇レベルです。(注意)
船酔いで嘔吐しまくる乗客。
大噴火するトイレ。
汚物まみれの船内は阿鼻叫喚の地獄絵図に!!
『バビロン』も酷かったですが、あれを超えてますよ、マジで。
そんな地獄のような状況で冷静に酒を飲むマルクス主義者のアル中船長が、ロシアの成金デブのディミトリと熱く語り合うのが中盤のハイライト。
ウディ・ハレルソン船長がここにきて弾けます。最高!
ちなみに、この映画のポスターのド真ん中を陣取ってるウディ・ハレルソンの出番は少なめで脇役レベルなので注意。
無人島で大逆転!おデブと流されて…(ネタバレ)
クルーズ船のとんでもない大パニックを経て、舞台は無人島に移ります。
島に流れ着いたのは、モデルカップルやロシアの大富豪やIT億万長者や船の清掃員などなど。
そう、ここで豊満な大富豪ディミトリさんとIT成金デブのヤルモさんがまさかの主要キャストである事が判明!
二人とも脇役ですぐに退場するのかと思っていたので、めちゃくちゃ嬉しくなっちゃいました。このパートで誰が退場して誰が残ったのか、そのあたりも監督の意図がしっかり反映されていそうなメンバーでした。
尚、ディミトリ役はズラッコ・ブリッチ、ヤルモ役はヘンリク・ドルシンという俳優さんです。
最終パートは人数少ないし場所が限定されるので、この二人がほぼ出ずっぱり。
準主役級!!
この無人島での最終パートで実権を握るのが、サバイバルスキルがあるトイレの清掃員アビゲイル。島では金など何の役にも立たないわけで、スキルのある彼女がピラミッドの最下層から頂点に立つわけです。
一気にヒエラルキーが逆転します。
船では我が物顔でやりたい放題だったセレブたちの立場が、アビゲイルによって180度ひっくり返る様が面白い。
ここで『流されて…』(1974)という作品を思い出しました。ブルジョワの人妻と使用人が無人島に流れ着いたことで、立場が逆転するお話。おそらく参考にしてるのではないかなと。
『逆転のトライアングル』は資本主義が生み出す格差社会について、全編に渡って痛烈にアイロニーをぶっ込んだ作りで面白かったです。ちょっとブラックすぎる気もしましたが、リューベン・オストルンド監督の本領発揮というところでしょうか。めちゃ好みな作風でした。
オストルンド監督と言えば、私の好きな『フレンチアルプスで起きたこと』の人。雪崩時に家族を置いて速攻逃げた夫のせいで夫婦間に亀裂が入るお話で、人間心理を深く描いた傑作です。
オストルンド監督は、『逆転のトライアングル』で『ザ・スクエア 思いやりの聖域』に続いて第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。そして、第95回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞の3部門でノミネートされました。
さて、受賞結果はどうなるでしょうか。
ワクワク!