ABOUT THE MOVIE
邦題:イニシェリン島の精霊(2022)
原題:The Banshees of Inisherin
製作国:イギリス
監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー
出演:コリン・ファレル (パードリック)、ブレンダン・グリーソン (コルム)、ケリー・コンドン (シボーン)、バリー・コーガン (ドミニク)
上映時間:114分
シネちゃぶ度チェック
★★★★★:おデブが主役/完全なる癒し!
★★★★☆:おデブが準主役/大活躍!
★★★☆☆:おデブが脇役
★★☆☆☆:おデブがチラリ映る
★☆☆☆☆:全然いない…
予告編&あらすじ
【シネちゃぶ度:★★★★★】
本作の舞台は本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さい島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた…。
公式サイト
注目ポイント
⚫︎ おデブ俳優ブレンダン・グリーソン熱演
⚫︎ デブ率が高い
⚫︎ ゴールデングローブ賞作品賞受賞
※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
おっさん二人の喧嘩から見えて来る人間の本質
アイルランドの小さな孤島。対岸では内戦が起きているが、何のために戦っているのかすら知らない島民たち。退屈な日々を漫然と過ごす退屈な島民たち。
そんな退屈な日々をパードリックがパブで酒飲みながら過ごしていたある日、長年の親友コルムがいきなり絶縁宣言!
「もうお前とは絶交な!」
は?なんで?
俺、何かした?
理由がわからないまま、八の字眉毛を更に八の字にして戸惑うパードリック。コルムを怒らせたわけではないし、一体何があったんだよ。わけわかんねーよ!と困りまくるパードリック。
「俺はバイオリンで後世に残す曲を作るんだ!お前と無駄話してる時間はねぇ!」とコルムから告げられても理解できないパードリック。
二人は長年の友人であったのは確かなのだろうけど、それまでの経緯は映さずに物語が始まるため、突然告げられる絶縁宣言に視聴者も戸惑いながら観ることになります。
二人の考え方、価値観のズレは修復されることなく、やがて取り返しのつかない不条理で不穏な展開を見せます。狂気的。退屈な毎日を過ごすことに対する将来への不安。何かを始めないと、このまま漫然とダラダラと酒を飲んで自堕落な日々を過ごすだけという焦り。
そんな日々に変化を求めたいコルム。
変化を望まないパードリック。
対岸の内戦とおっさん二人の内戦(喧嘩)は終わらない。
パードリックはコルムの行動が理解できないし、話し合えば以前のコルムに戻って、また一緒にパブでくだらない話ができると本気で信じています。だから、「俺に話しかけたら、自分の指を切り落とすからな」と告げるコルムに平気で近付いて話しかけようとしちゃうパードリック。おいおい、もう話しかけるんじゃねーよ!ってハラハラしながら観ていました(笑)
パブの男たちは、対岸の火事の如く無関心をキメてるし、事態はどんどんエスカレートしちゃいます。
コルムはパードリックよりも冷静に見えて、言っている事とやっている事が矛盾していたりします。コルムの言い分も分かるけど、やり方が狂気的。自分のエスカレートした行動がパードリックの大切なものを奪ってしまった事にショックを受けた後の彼の心理がまた深いというか、何というか。
何もない島での無意味な生活。その場所を嫌悪し、退屈な生活にうんざりして変わりたいと思う人間もいれば、安穏と暮らすことに何の疑問も持たずに変わりたいとも思わない、そもそも思い付きもしない人間もいる。そんな二人の諍いは、終わるはずもないんだよね。
エンドレス。
誰しもちょっとした考え方の違いで誰かとすれ違っちゃった経験があると思うのですが、そんな人間の本質的なあるあるが描かれてる作品とも言えます。戦争が起きる理由もこういった小さな諍いからなのかもしれませんね。
全てを失ったパードリックのその後はどうなるのだろう。切ない。
島での人間関係が面白い。コルム、パードリック、ドミニク、シボーンそれぞれの立場、他人に対する見方、考え方が異なります。当然人間だから多様な考え方があるのだろうけど、そのすれ違いが生むサスペンスが全編に渡り漲っていて緊張感が凄い。観る人によって感じ方、捉え方が変わる様々な考察ができる脚本になっています。素晴らしい。
面白いのはユーモアのあるシーンを時々ぶっ込んでくるところ。ある意味、コメディ。やってる事はダークでドギツイのですが、時々笑っちゃうみたいな。そのあたりのバランスが上手すぎるよ、マーティン・マクドナー監督。
本作は第80回ゴールデングローブ賞で作品賞、主演男優賞(コリン・ファレル)、脚本賞の3部門を受賞しています。
アカデミー賞の行方が気になります。
(残念ながら、無冠でした・・・エブエブ強い!)
マーティン・マクドナー監督
本作『イニシェリン島の精霊』の監督であるマーティン・マクドナーは、ブラックコメディやサスペンスを手掛けることが多い印象があります。主人公が何かのトラブルに巻き込まれていく様をユーモアを交えてブラックに描き出すのがお得意な人。
一見シンプルな話のようでいて、いつも一筋縄ではいかない。人間の本質を炙り出すかのような脚本に唸らされます。コリン・ファレル主演の『セブン・サイコパス』もオスカー作品賞を受賞した『スリー・ビルボード』もしかり。
実はマーティン・マクドナー監督、ブレンダン・グリーソン、コリン・ファレルは、以前に『ヒットマンズ・レクイエム』(2008)という作品で一度組んでいます。
これまた傑作なので、ぜひオススメしたいですし、この頃のブレンダンはかなりは太っているので、そこにも注目です。
マーティンは短編映画『シックス・シューター』で映画デビュー。本作の主演がブレンダン・グリーソンなのです。彼の兄ジョン・マイケル・マクドナー監督の傑作『ザ・ガード 〜西部の相棒〜』もブレンダン・グリーソン主演作で、マーティンは製作総指揮に名を連ねています。
マーティン&ブレンダンの黄金コンビは、今後も続きそうですね。たくさん傑作を生み出していただきたいです。
おデブ俳優:ブレンダン・グリーソン
コルム役はアイルランド出身の名優ブレンダン・グリーソン。
古くは『ブレイブハート』、『ハリー・ポッター』シリーズのマッド-アイ・ムーディ先生、『パディントン2』、『ミスター・メルセデス』シリーズなどなど主役から脇役まで幅広く活躍する管理人お気に入りの可愛いおデブ俳優さんです。
好き!
『イニシェリン島の精霊』では突然親友に絶縁を告げる男を繊細に演じています。本作での演技が絶賛されており、第95回アカデミー賞助演男優賞に見事ノミネートされました!
本編でフィドルを弾くシーンが何度か出てくるのですが、ブレンダンは元々バイオリン奏者。彼の出演作『マイケル・コリンズ』や『コールドマウンテン』でも演奏を披露しており、本作でも自分で弾いています。
『イニシェリン島の精霊』ではパッと見、やつれたような印象を受けるのですが、劇中でデブデブ言われているように、相変わらずデカいです。
ポッチャリしていて可愛かった『ヒットマンズ・レクイエム』の頃に比べると、かなり体重が落ちていますけどね。『ミスター・メルセデス』シーズン3(2019)や『マクベス』(2021)の頃の体型に近いかな。ふっくらブレンダンがもっと観たいです。
ブレンダンの次作は大ヒット映画『ジョーカー』の続編『Joker Folie à Deux』。楽しみです。
デブ率が高い
「イニシェリン島の精霊」デブ率高いよ♡ pic.twitter.com/FSA7Vj883b
— シネちゃぶ (@cinechub_loaf) January 29, 2023
『イニシェリン島の精霊』は何げにおデブさんがたくさん出演しています。面白い映画で更におデブ率が高いなんて、最高じゃないですか。ありがとう!
コルム(ブレンダン・グリーソン)
ジョンジョ(パット・ショート)
ゲリー(ジョン・ケリー)
神父(デヴィッド・ピアース)
ピーダー(ゲイリー・ライドン)
ドミニクの父親ピーダーが全裸(無修正)で登場するシーンがあるのですが、突然出てきたのでビックリしました(笑)