『ドリーム・ホース』夢を追いかける妻とグータラ髭デブ旦那の再生

※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。

予告編＆あらすじ

【シネちゃぶ度：★★★★★】

イギリス・ウェールズ、谷あいの小さな村。夫と二人暮らし、パートと親の介護だけの “何もない人生”を送っていた主婦ジャン。ジャンは馬主経験のあるハワードの話に触発されて競走馬を育てることを思いつき、村のみんなに共同で馬主となることを呼びかける。週10ポンドずつ出しあって約20人の馬主組合となった彼らの夢と希望を乗せ、「ドリームアライアンス（夢の同盟）」と名付けられた馬は、奇跡的にレースに勝ち進み、彼らの人生をも変えていく。

公式サイト

人生には「ワクワク」が大切

劇場映画初めは、『ドリーム・ホース』。
ロッテントマトで高評価をゲットした作品という事で気になっていた作品でした。

なんという高揚感！
なんという胸の高鳴り！

新年一発目に相応しい良作でした。

トニ・コレット演じる平凡な主婦ジャン・ヴォークスが競走馬として育てた一頭の馬（ドリームアライアンス）が、村人達に生きる喜びを与える実話ベースの感動作。イギリス映画では、中年以上の労働者達が一つの目標に向かって努力する『フル・モンティ』タイプの作品が多いですが、本作もスタンスは同じ。いつも心を揺さぶるテーマで感動されてくれますね。上手いんだよね、ホントに。

主婦のジャンは平凡な毎日をただ過ごすだけの生活ではなく、「朝起きた時にワクワクできるような何かが欲しい。」と言います。

まさにこれ。

人生において最も大切なものって、「ワクワク」だと思うんですよね。人それぞれワクワクするものは違うと思いますが、ジャンにとってのそれは馬主となる事。その目的は競走馬として「稼ぐ」ことではなく、目指すのは胸の高鳴り（ホウィル）＝「ワクワク」を求める事。村人達と馬主組合を作る際、これを目的として結成するのです。

退屈で何も変わらない日常から一歩外に踏み出す勇気。人生の幸せを見出していくことの大切さ。ジャンのように何かに挑戦し夢を追いかける事で、幸せオーラで周囲も巻き込みながら人生は輝き始めるんだと思います。金では得られない大切なものがあるという事を本作は教えてくれます。

ドリームアライアンスが活躍する競馬場シーンは思わず自分も一緒に乗り出してしまいそうになるほどの高揚感がありました。マジでトニコレ姐さんと一緒にガッツポーズしちゃいそうになっちゃいましたよ。

高揚感溢れまくり！

レース結果がわかっていても大興奮。涙が出るほど嬉しくなっちゃうシーンがいっぱいなステキな作品です。

結果的にドリームアライアンスは静かだった村に大フィーバーを起こします。一人の主婦の無謀な挑戦が人々の心に希望と生きる喜びをもたらします。退屈な日々を過ごしていた村人たちが、一頭の馬の活躍によって生き生きとし出す様がとても良い。

まるで夢のようなお話ですが、これが実話というのが驚き。当然、脚色はされているでしょうが、とにかく観ていて気持ちが良い。全編に溢れる前向きで明るい作風に観ている自分も高揚して涙が溢れて来ました。非常によくできた作品だと思います。

髭デブ旦那が立ち上がる

本日11.22は#いい夫婦の日💍

映画『#ドリーム・ホース』では、夢に奮闘する妻・ジャン（#トニ・コレット）を全力でサポートする夫・ブライアン（#オーウェン・ティール）の深～い愛も見どころです🐴💖#競争馬 #欲しいのは胸の高鳴り pic.twitter.com/kJftqm4Uvm

— 映画『ドリーム・ホース』公式 (@MovieDreamhorse) November 22, 2022

オーウェン・ティール演じるジャンの旦那ブライアン（愛称デイジー）はイビキが凄いしグータラ生活を送る髭デブオヤジ。そんな彼に辟易するジャン。冒頭で「離婚」というワードが出て来たから、サッサと離婚して、馬主経験のあるハワード（ダミアン・ルイス）と恋仲になるのではと思ってハラハラしたんですが、大丈夫でした（笑）

だって、可愛い太めの髭旦那が即退場なんてしたらガッカリじゃないですか。でもそこは実話。大丈夫です。そんな映画のような浮気ラブストーリーなんてありません。夫婦でしっかり最後までラブラブです。実は夫婦愛映画でもあるんです。素敵。

かつては意気揚々としていたブライアンは今や生きる目的もなくただテレビの前に座ってダラダラ生活を続ける有様。そんな彼の心に再び火を付けるのが、妻の思いつきで始めた馬主としての挑戦。生き生きと楽しそうに活動し始める彼の姿にも感動を覚えます。

彼は常に妻の味方。馬主組合の会議の議論で妻が孤立した時、彼は優しく諭します。競馬場では夫婦揃って応援。ドリームアライアンスが良い成績を残した時は抱き合って喜ぶ。なんて、ステキな夫婦なんでしょ。ホッコリ！

ブライアンはほとんどのシーンでジャンと一緒に出て来ます。

つまり、出ずっぱり。

シネちゃぶ

つまり、ほぼ主役！！

ブライアンに歯がないのが凄く気になっていたんですが、実際の本人も歯がないらしくオーウェンの役作りだったんですね。エンドロールに本人達が登場するのですが、実際のブライアンもそうでした。

本物さん、めっちゃおデブ！

ドキュメンタリー映画『Dark Horse』

本作は実話を基にしており、ヴォークス夫妻もドリームアライアンスも実在します。当時大きな話題となり、日本では未公開のドキュメンタリー映画『Dark Horse』（2015）が製作されサンダンス映画祭ワールドシネマ／ドキュメンタリー部門で観客賞を受賞したようです。

本物のブライアン・ヴォークスさんは映画よりも大きい！

ぜひともこの機に日本でリリースしてほしい。