ABOUT THE MOVIE
邦題:君は行く先を知らない(2021)
原題:Jaddeh Khaki/Hit the Road
製作国:イラン
監督:パナー・パナヒ
出演:モハマド・ハッサン・マージュニ、パンテア・パナヒハ、ヤラン・サルラク、アミン・シミアル
上映時間:93分
シネちゃぶ度チェック
★★★★★:おデブが主役/完全なる癒し!
★★★★☆:おデブが準主役/大活躍!
★★★☆☆:おデブが脇役
★★☆☆☆:おデブがチラリ映る
★☆☆☆☆:全然いない…
※この記事は本編に一部触れています。未鑑賞の方はご注意ください。
予告編&あらすじ
【シネちゃぶ度:★★★★★】
荒涼としたイランの大地を走る1台の車。後部座席では足にギプスをつけた父が悪態をつきながら、旅に大はしゃぎする幼い次男の相手をしている。助手席の母はカーステレオから流れる古い歌謡曲に体を揺らし、運転席では成人した長男が無言で前を見据えている。
公式サイト
次男が隠し持ってきた携帯電話を道端に置き去ったり、尾行に怯えたり、転倒した自転車レースの選手を乗せたり、余命わずかなペットの犬の世話をしたりしながら、一家はやがてトルコ国境近くの高原に到着する。そこで父と母は羊飼いや仮面をつけた男と交渉し、長男は「旅人」として村人に迎えられる。旅の目的を知らない次男が無邪気に騒ぐ中、我々はこの家族の行方を知ることになる。
4人と1匹が向かう先とは
「#君は行く先を知らない」
— シネちゃぶ (@cinechub_loaf) August 21, 2023
荒野を車で旅する訳あり家族。ぐーたらパパ(可愛い♡)、美しくて優しいママ、寡黙な長男、終始やっかましい次男、病弱な犬。彼らが向かう先は…。各々の表情に見え隠れするイランの残酷な現実。直接的に語らない美しい意味深ショットの連続で面白い!傑作。@FansVoiceJP pic.twitter.com/kJo4ppMN9j
試写会(@渋谷ユーロライブ)にて鑑賞。
イラン映画の巨匠ジャファル・パナヒ監督の『人生タクシー』がありますが、本作はその息子であるパナー・パナヒによる初監督作になります。
ある4人の家族(パパさん、ママさん、息子二人)と1匹の犬が、車でイランの荒野を走るロードムービー。
それは、家族の"最後の"旅。
大はしゃぎする次男は、その行方を知らない。
我々視聴者も、その次男と同じでどこに行くのか提示されないまま、不穏な旅の行く先を気にしながら観ることになります。
彼らはどこに向かっていくのか。
君は行く先を知らない
・・・実は最後まではっきりとは提示されません。
国境付近まで行くので、国外へ出るのが目的なのかなという推測はできます。
でも、何とな~く分かったような分かってないような感じでモヤモヤ感が残る後味。
実際、映画鑑賞後のトークショーを聞くまでは何が何だか分かりませんでした。
本作には現代イランの映画製作事情が裏に隠されているのですが、それを知らないと、ナニコレ?となりかねない。
それでも十分面白いんですけどね。
監督の父親であるジャファル・パナヒの作品を観たことある方は、その理由がうっすらと分かるとは思います。
全般的に不穏な雰囲気ながら、家族のやり取りでクスっと笑えるシーンもたくさんあり、観ていて楽しかったです。
映画の至る所に現在のイラン情勢に対する監督の想いが仕込まれているのですが、それらを汲み取るのはなかなか難しい。社会問題を理解した上で観ると、その「意味」が全編に渡って巧妙に仕込まれている事に驚くし、抑制を効かせた演出の手腕に唸らされるはず。
かなり胸に迫るものがあると思います。
単純なロードムービーとして楽しい出来ですし、家族のやり取りも温かみがあって、個人的にはかなり好みな作品でした。
鑑賞後のトーク、めちゃ楽しかったです!
太めのパパさん
パパさん役のモハマド・ハッサン・マージュニ(Mohammad Hassan Madjooni)が可愛い!
足を骨折してギプスをしているのですが、結構ずぼらで不器用なパパさん。
性格設定も良き。
終始やかましい次男とふざけたりする姿にもホッコリ。
長男との別れを悲しんでる風(見せないようにしてる?)なところも可愛いのです。